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東大 情報系M1

2022年東大情報理工学研究科創造情報学コース冬入試に合格しました

2022年2月に実施された情報理工学研究科創造情報学コース冬入試に合格しましたの冬入試に合格したので体験記を書きたいと思います。 今年度の入試は1次試験が書類、2次試験が筆記試験及び面接となっていました。

受験したきっかけ

東大理系非情報系学部出身でありながら、進振り後に機械学習にハマったことがきっかけです。個人的には機械学習をメインにエンジニアとして仕事をし始めていたこともあり

  • この分野の最先端を間近で見てみたい
  • ビジネスとは別角度でこの分野に貢献したい

と考え受験を決意しました。

出願時の知識レベル

基本情報技術者試験やJDLAのE資格を持っていたため、そのレベル感の知識はありました。具体的には論理回路で言えばフリップフロップがわかる、ネットワークで言えばIPアドレスの仕組みがわかるなど。この段階で過去問は解いたりしませんでしたが、おそらく解いたとしても手も足も出ないレベル感だったと思います。

以下の書籍を通読することで、過去問で8割近く回答できるレベル感まで上げることができました。

TOEFLは83点のスコアを提出しました。こちらに関しては別の記事で改めてまとめたいと思います。

1次試験

1次試験はTOEFLのスコアと研究計画書が主に見られていたと思います。TOEFLのスコアに関しては先述の通り83点のものを出しました。決して良いスコアではないですが、足切りされるレベルではないと思ってこのスコアで提出しました。研究計画書は自分の志望する分野のサーベイ論文を読んで多角的な記述を心がけたり、研究室のHPを参照し自分のやりたいこと研究室がやっていることの方向性が一致しているかを確認したりしました。結果的には連番で抜けている受験番号がなかったため、1次試験は全員合格していたと思います。

2次試験

筆記試験と面接に分けて振り返ります。詳細な内容はここには記述できないのでTwitterのDM等でコンタクトしていただけたら可能な範囲で回答します。

筆記

筆記試験は専門科目(創造情報学)とプログラミングに分かれています。配点はそれぞれ300点満点で、2日間に分けて実施されました。

1日目の創造情報学は3つのセッションに分かれており、今年は

  1. アルゴリズム(連鎖行列積)
  2. ネットワーク(ルーティング)
  3. 語句説明

という構成になってました。

1.アルゴリズム

アルゴリズムに関する対策は後半でも紹介しますが、以下の1冊を重点的に取り組んでいました。 www.amazon.co.jp

今回出題された連鎖行列積もしっかりとカバーされていたため、初見でアルゴリズムを導出しなければならないという事態は避けることができました。ただ1周しかこの本に取り組めなかったため、「DPを使えばうまくいく」といった程度の認識でした。内容としては、アルゴリズムの証明(なぜこのアルゴリズムでうまくいくのか)や、空間計算量や時間計算量及びそれらの削減について問われました。

2.ネットワーク

ネットワークは正直対策不足だったので、問題冊子を開いた瞬間少し焦りました。(過去問でもネットワークが問われている年が少なかったイメージ) 応用情報技術者試験の参考書レベルの知識で挑むことになりましたが、前提をしっかり理解すれば解ける問題となっていました。また、この試験数日前に受けた学際情報学府の面接の際にルーティングの仕組みについて問われ、しっかり答えられなかったということがあったため復習ができていたというのも大きかったと思います。

3.語句説明

毎年定番となっている8つの語句から4つを選び4~8行で説明する形式の大問です。範囲があまりにも広すぎるため、対策という対策はしてきませんでした。(プログラミングで点数を稼ぐ予定だった)しかし幸運にも今年は機械学習にまつわる語句が多く出題されたため、結果的には4つとも説明を書き切ることができました。 参考までに、自分が選択した語句は以下になります。

  • 仮想記憶
  • 主成分分析
  • k-最近傍法
  • アフィン変換

他には「相互情報量」などが選択肢にあった気がします。

プログラミング

プログラミングに関しては普段からやっていたので、試験に向けて特段対策をしたことはありませんでした。リファレンスの持ち込みがOKとなっていたため準備していきましたが、悠長に確認しているほど時間の余裕はありませんでした。

300点満点で、試験自体は前半後半の二部構成になっていました。ただし、両者の話題は一致しており難易度には差がなかったように感じました。(一つの大きな大問を前後半に分けた感じ) 例年と比較すると、難しめの年だったのではないかと感じます。 内容としてはオセロに関する問題でした。時間をかければ解ける難易度でしたが、本番の焦りもあり十分に解くことができませんでした。また、グリッド上のx成分とy成分を逆にして書いてしまうという大失態を犯しました。結果的には部分点が来ていたので救われましたが、完全に対策不足だったと感じています。

言語はPythonで記述し、.ipynb形式で提出しました。

分野別対策

ここで紹介しているもの以外にも目を通した書籍はありましたが、以下が必要十分な組み合わせかと思います。大体11月の後半くらいから、1日1章などと決めて着手しました。

論理回路

演習問題が非常に良問です。この本1冊クリアすれば、院試の対策は十分と言って良いかと思います。 https://www.amazon.co.jp/%E8%AB%96%E7%90%86%E5%9B%9E%E8%B7%AF%E5%85%A5%E9%96%80-%E5%9D%82%E4%BA%95-%E4%BF%AE%E4%B8%80/dp/456306730X?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=2B8UB7KVGALT9&keywords=%E8%AB%96%E7%90%86%E5%9B%9E%E8%B7%AF&qid=1647247310&sprefix=%E8%AB%96%E7%90%86%E5%9B%9E%E8%B7%AF%2Caps%2C192&sr=8-3&linkCode=ll1&tag=yuto083-22&linkId=df3e190b4e23f87a04f99ac6faa0277a&language=ja_JP&ref_=as_li_ss_tlwww.amazon.co.jp

コンピュータアーキテクチャ

コンピュータアーキテクチャに関するエッセンスが凝縮されています。演習問題は正直微妙でしたが、本編の内容が分かりやすくまとまっています。 https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%86%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%A3-%E9%9B%BB%E5%AD%90%E6%83%85%E5%A0%B1%E9%80%9A%E4%BF%A1%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA-%E5%9D%82%E4%BA%95-%E4%BF%AE%E4%B8%80/dp/4339018430?crid=XXTBL3685281&keywords=%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%81%82%E3%83%BC%E3%81%8D%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%81%A1%E3%82%83&qid=1647247413&sprefix=%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%81%82%E3%83%BC%2Caps%2C193&sr=8-1&linkCode=ll1&tag=yuto083-22&linkId=c138ed79b96767be87605e04f289ae25&language=ja_JP&ref_=as_li_ss_tlwww.amazon.co.jp

アルゴリズム

基本的なアルゴリズムが網羅されています。オンラインジャッジを利用しながらコーディングの練習もすることができる点や、有名な書籍なので補足の解説が検索で見つかりやすい点が良い点です。 www.amazon.co.jp

OS

必要な内容が非常に分かりやすくまとまっています。OSだけでなくコンピュータアーキテクチャやネットワーク、セキュリティに関しても後半で少しだけ触れられていますので、他分野の復習もしながら学ぶことができました。 https://www.amazon.co.jp/%E3%82%AA%E3%83%9A%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0%E3%81%AE%E4%BB%95%E7%B5%84%E3%81%BF-%E6%83%85%E5%A0%B1%E7%A7%91%E5%AD%A6%E3%81%93%E3%82%93%E3%81%9B%E3%81%B7%E3%81%A4-%E6%B2%B3%E9%87%8E-%E5%81%A5%E4%BA%8C/dp/4254127057?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=37C3CIZ54S3TW&keywords=%E3%82%AA%E3%83%9A%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0%E3%81%AE%E4%BB%95%E7%B5%84%E3%81%BF&qid=1647248048&s=books&sprefix=%E3%82%AA%E3%83%9A%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0%E3%81%AE%E4%BB%95%E7%B5%84%E3%81%BF%2Cstripbooks%2C179&sr=1-1&linkCode=ll1&tag=yuto083-22&linkId=c77678541ee88bd661c397599ff0c039&language=ja_JP&ref_=as_li_ss_tlwww.amazon.co.jp

機械学習・深層学習

基本的な手法から最新の手法まで全てが網羅されています。 https://www.amazon.co.jp/gp/product/4065133327?ie=UTF8&psc=1&linkCode=ll1&tag=yuto083-22&linkId=55393bcb83179f394ffae8210a642e1c&language=ja_JP&ref_=as_li_ss_tlwww.amazon.co.jp

基本情報・応用情報

院試対策を始めた段階で基本情報は持っていたので院試対策として取り組んだのは応用情報の本のみですが念の為、基本情報取得の際に利用した書籍も載せておきます。

基本情報技術者試験 https://www.amazon.co.jp/%E3%82%AD%E3%82%BF%E3%83%9F%E5%BC%8F%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%88IT%E5%A1%BE-%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E6%83%85%E5%A0%B1%E6%8A%80%E8%A1%93%E8%80%85-%E4%BB%A4%E5%92%8C04%E5%B9%B4-%E3%81%8D%E3%81%9F%E3%81%BF-%E3%82%8A%E3%82%85%E3%81%86%E3%81%98-ebook/dp/B09MYGL7B5?_encoding=UTF8&qid=1647248267&sr=1-2-spons&linkCode=ll1&tag=yuto083-22&linkId=b433970b21dee4c6cb1c66d896f1b6ab&language=ja_JP&ref_=as_li_ss_tlwww.amazon.co.jp

応用情報技術者試験 https://www.amazon.co.jp/%E4%BB%A4%E5%92%8C04%E5%B9%B4%E3%80%90%E6%98%A5%E6%9C%9F%E3%80%91%E3%80%90%E7%A7%8B%E6%9C%9F%E3%80%91-%E5%BF%9C%E7%94%A8%E6%83%85%E5%A0%B1%E6%8A%80%E8%A1%93%E8%80%85-%E5%90%88%E6%A0%BC%E6%95%99%E6%9C%AC-%E5%A4%A7%E6%BB%9D-%E3%81%BF%E3%82%84%E5%AD%90-ebook/dp/B09NKFH9TY?_encoding=UTF8&qid=1647248355&sr=1-1-spons&linkCode=ll1&tag=yuto083-22&linkId=356d9439bb4a5d66073dd33c8f786634&language=ja_JP&ref_=as_li_ss_tlwww.amazon.co.jp

合格発表

合格発表は2次試験1日目からちょうど10日後の15時に情報理工学系研究科ホームページ上でおこなわれました。確か合格者は9名(1次合格者は40数名)だったかと思います。数日前に学際情報学府の合格がわかっていたため安心して見ることができましたが、落ちていると思っていたので正直驚きました。

得点開示

試験後、開示請求を行いました。各試験の得点は以下になります。

  • TOEFL:83点/120点
  • プログラミング:144点/300点(48%)
  • 創造情報学:200点/300点(67%)
  • 面接:1 (-1~1で評価)

今年は難しかったとはいえ、総合60%を切っていて合格できるとは思いませんでした。全体として受験生のレベルがそこまで高くはない、創造情報学の方が高く重み付けされているなどの要素があるのかも知れません。

2022年東大学際情報学府総合分析情報学コース冬入試に合格しました

2022年2月に実施された学際情報学府総合分析情報学コースの冬入試に合格したので体験記を書きたいと思います。 今年度の入試は1次試験書類、2次試験面接となっていましたが、しっかりと過去問にも取り組み万全の状態で臨みました。

受験したきっかけ

東大理系非情報系学部出身でありながら、進振り後に機械学習にハマったことがきっかけです。個人的には機械学習をメインにエンジニアとして仕事をし始めていたこともあり

  • この分野の最先端を間近で見てみたい
  • ビジネスとは別角度でこの分野に貢献したい

と考え受験を決意しました。

出願時の知識レベル

基本情報技術者試験やJDLAのE資格を持っていたため、そのレベル感の知識はありました。具体的には論理回路で言えばフリップフロップがわかる、ネットワークで言えばIPアドレスの仕組みがわかるなど。この段階で過去問は解いたりしませんでしたが、おそらく解いたとしても手も足も出ないレベル感だったと思います。

以下の書籍を通読することで、過去問で8割近く回答できるレベル感まで上げることができました。

TOEFLは83点のスコアを提出しました。こちらに関しては別の記事で改めてまとめたいと思います。

分野別対策

ここで紹介しているもの以外にも目を通した書籍はありましたが、以下が必要十分な組み合わせかと思います。大体11月の後半くらいから、1日1章などと決めて着手しました。

論理回路

演習問題が非常に良問です。この本1冊クリアすれば、院試の対策は十分と言って良いかと思います。 www.amazon.co.jp

コンピュータアーキテクチャ

コンピュータアーキテクチャに関するエッセンスが凝縮されています。演習問題は正直微妙でしたが、本編の内容が分かりやすくまとまっています。 www.amazon.co.jp

アルゴリズム

基本的なアルゴリズムが網羅されています。オンラインジャッジを利用しながらコーディングの練習もすることができる点や、有名な書籍なので補足の解説が検索で見つかりやすい点が良い点です。 www.amazon.co.jp

OS

必要な内容が非常に分かりやすくまとまっています。OSだけでなくコンピュータアーキテクチャやネットワーク、セキュリティに関しても後半で少しだけ触れられていますので、他分野の復習もしながら学ぶことができました。 www.amazon.co.jp

機械学習・深層学習

基本的な手法から最新の手法まで全てが網羅されています。 www.amazon.co.jp

基本情報・応用情報

院試対策を始めた段階で基本情報は持っていたので院試対策として取り組んだのは応用情報の本のみですが念の為、基本情報取得の際に利用した書籍も載せておきます。

基本情報技術者試験 www.amazon.co.jp

応用情報技術者試験 www.amazon.co.jp

1次試験

1次試験はTOEFLのスコアと研究計画書が主に見られていたと思います。TOEFLのスコアに関しては先述の通り83点のものを出しました。決して良いスコアではないですが、足切りされるレベルではないと思ってこのスコアで提出しました。研究計画書は"非"学際情報学府の先輩に基本的なレビューをしていただきました。個人的な対策としては、自分の志望する分野のサーベイ論文を読んで多角的な記述を心がけたり、研究室のHPを参照し自分のやりたいこと研究室がやっていることの方向性が一致しているかを確認したりしました。

2次試験

2次試験は1次試験合格者のみを対象に、Zoomにておこなわれました。最初に7分間のプレゼンをし、その後質疑応答がありました。全体としては15分かかっていないと思います。詳細な内容はここには記述できないのでTwitterのDM等でコンタクトしていただけたら可能な範囲で回答します。

合格発表

合格発表は2次試験からちょうど10日後の14時に情報学環ホームページ上でおこなわれました。確か合格者は5名(1次合格者は9名)だったかと思います。